【クレームの実態】
住宅業界に相談が絶えない理由と、トラブルを防ぐ会社の見極め方について
こんにちは。大阪府羽曳野市を拠点に、注文住宅の家づくりをお手伝いしているtsumugu~ツムグ~の代表をしております山下です。
家づくりを検討し始めると、「どの会社を選べば安心なのか」という迷いに直面する方は少なくありません。これから大きな決断をしようとしているご夫婦にとって、その不安は小さなものではないはずです。特にこれからの暮らしを思い描くほど、失敗したくないという気持ちは強くなるものです。大手だから安心、価格が高いから品質も高い、そう思われがちですが、実際にはそう単純ではないことが、公的な統計データからも見えてきます。
この記事では、住宅業界に寄せられる相談やトラブルの実態を客観的なデータで整理しながら、クレームにつながりやすい会社の特徴や、注意しておきたい担当者のサインについて、現場経験も交えてわかりやすくお伝えします。
数字や制度の話だけでなく、ご夫婦が納得して一歩を踏み出せる視点もご紹介します。読み終える頃には、会社選びの視点が少し整理されているはずです。

住宅業界には、実はこれだけの相談が寄せられている
住宅の相談やトラブルは、決して一部の人だけに起こる特別な出来事ではありません。公的な統計を見ても、毎年数万件規模の相談が寄せられており、家づくりを検討するご家族にとって身近なテーマだと言えます。
住まいるダイヤルに寄せられる相談件数
住宅の取得やリフォームに関する電話相談を行っている公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住宅相談統計年報2025」によると、2024年度に寄せられた新規相談件数は30,812件にのぼりました。このうち「住宅のトラブルに関する相談」は18,489件で、相談全体の60.0%を占めています。制度が始まった2000年度からの累計相談件数は52万件を超えており(累計521,192件)、長年にわたって一定数の相談が寄せられ続けていることが分かります。
相談区分別に見ると、新築相談は11,682件、リフォーム相談は11,920件でした。今回、初めてリフォーム相談が新築相談を上回ったとされていますが、新築住宅についても決して少なくない件数の相談が寄せられている点は変わりません。「新築だから大丈夫」と考えるのではなく、誰にとっても起こり得るテーマとして捉えておくことが大切です。
地域や会社によって傾向に差はあるものの、全国的に見ても一定数の相談が寄せられている状況は、これから家づくりを検討するすべての方にとって、知っておく価値のある情報だと言えるでしょう。

民間調査からも見える施工品質のばらつき
あわせて、民間の第三者検査会社が独自に行った調査もご紹介します。この会社が2025年に完成した新築一戸建てを対象に実施したホームインスペクション(1,370件)では、82.0%の住宅で何らかの不具合が指摘されたという結果が公表されています。前年の76.4%からさらに上昇しています。こちらは公的統計ではなく一企業による調査ですが、施工品質は会社の規模だけで語れないことを示す参考データのひとつと言えるでしょう。
※本記事でご紹介した統計・調査データは、執筆時点で確認できる最新の発表内容です。数値は今後の発表で更新される可能性がありますので、最新の状況については各発表元の情報をご確認ください。

これらの数字は、住宅会社が特別に悪いというより、「完成後には見えなくなる部分が多い」という住宅づくり特有の難しさを示していると考えられます。数字だけを見て過度に不安になる必要はありませんが、トラブルは他人事ではないという前提で会社選びを進めることが、後悔を減らす第一歩になります。
「大手だから安心」とは限らない理由
会社の規模とクレームの少なさは、必ずしも比例するわけではありません。これは大手を否定する話ではなく、どのような会社であっても、施工品質は現場での管理体制によって左右されるという事実によるものです。
品質を決めるのは規模より「仕組み」
住宅づくりは、設計図面だけでなく、実際の現場での施工によって品質が決まります。どれほど知名度のある会社であっても、現場ごとの管理体制や担当者の力量にばらつきがあれば、品質にも差が生まれます。先ほどご紹介した第三者検査データも、会社の規模だけを安心材料にすることの難しさを示す一例と言えます。
大切なのは、会社の規模や知名度そのものよりも、「担当者の感覚や経験だけに頼らず、仕組みによって品質を担保しているかどうか」という視点です。自社検査の有無、第三者機関による検査の有無、検査結果が写真や記録として残されるかどうかは、会社を比較するうえで確認しておきたいポイントになります。

比較検討の際に見ておきたいポイント
会社ごとの品質管理の考え方は、パンフレットの言葉だけでは分かりにくいものです。同じ「検査をしています」という説明でも、その内容や頻度、記録の残し方は会社によって大きく異なります。次のような点を、具体的な資料や実物をもとに確認してみることをおすすめします。
☑ 自社検査に加えて、第三者機関による検査を実施しているか
☑ 検査結果が写真付きの報告書として記録され、保管されているか
☑ 保証やアフター点検の内容が、年数や回数まで具体的に説明されているか
☑ 構造見学会など、施工中の現場を実際に確認できる機会があるか
こうした仕組みが整っているかどうかは、会社の規模に関わらず確認できるポイントです。パンフレットの説明だけで判断せず、実際に資料を見せてもらうことを遠慮なく担当者に相談してみてください。

クレームにつながりやすい住宅会社に見られる傾向
これまで多くのご家族の家づくりに携わってきた中で、クレームやトラブルにつながりやすい会社には、いくつか共通する傾向があるように感じています。これは特定の会社を指すものではなく、あくまで一般的な傾向として捉えていただければと思います。
よくあるすれ違いのパターン
たとえば、標準仕様とオプションの境界が曖昧なまま話が進んでしまい、後から想定外の費用が発生するケースは少なくありません。また、図面や見積りの説明が一方的で、質問への回答が後回しにされてしまうと、疑問や不安が解消されないまま契約に進んでしまうこともあります。検査体制や保証内容についても、「しっかりやっています」という言葉だけで終わってしまい、具体的な記録や根拠が示されない場合は、確認しておいたほうがよいポイントです。
実際にご相談にいらっしゃったご家族からも、「担当者が途中で変わり、以前伝えた要望がうまく引き継がれていなかった」「打合せのたびに違う説明を受けて混乱した」といったお声を伺うことがあります。こうした声に共通しているのは、情報共有の仕組みが整っていなかったことが原因になっているケースが多いという点です。専任の担当者が最初から最後まで関わる体制であるか、打合せの記録がどのように残されているかは、契約前に確認しておくと安心につながります。

契約前に確認しておきたいチェックリスト
会社を検討する際には、次のような点を確認してみると判断しやすくなります。
☑ 標準仕様とオプションの範囲が、契約前に明確に説明されているか
☑ 検査体制や保証内容について、資料や記録をもとに説明してもらえるか
☑ 打合せの内容が、次回以降にきちんと引き継がれる仕組みがあるか
☑ 質問に対して、根拠を示しながら答えてもらえるか
☑ 打合せの回数や質問への対応に、不自然な制限がないか
これらは特別なことではなく、家づくりを安心して進めるための、ごく基本的な確認事項だと考えています。
一つでも曖昧な点があれば、契約を急がず、納得できるまで確認する姿勢が大切です。

担当者選びで気をつけておきたいサインと、家づくりを楽しむ視点
会社選びと同じくらい大切なのが、担当してくれる方との相性です。担当者との関係が心地よいものであるかどうかは、家づくりの満足度に大きく影響します。
安心して任せられる担当者の特徴
私自身、これまで多くのお客様と接してきた中で、「この方は誠実に向き合ってくれている」と感じる担当者には、共通する特徴があるように思います。分からないことをすぐに答えず「確認してからお伝えします」と丁寧に持ち帰ってくれる方は、その場しのぎではなく、正確な情報を届けようとしている姿勢の表れだと感じます。良い面だけでなく、費用面やメンテナンスの注意点といったリスクについても、あらかじめ丁寧に説明してくれる姿勢も、安心材料のひとつです。

少し立ち止まって考えたいサイン
反対に、答えにくい質問をはぐらかしたり、契約を急かすような言い方が続いたりする場合は、少し立ち止まって考えていただいてもよいかもしれません。また、良い面ばかりを伝え、リスクについてほとんど触れない場合も、後から「聞いていなかった」という行き違いにつながりやすい傾向があります。もちろん、担当者にも得意不得意や個性がありますので、一つのサインだけで判断せず、複数回の打合せを通じて総合的に見ていただくことをおすすめします。

それでも、家づくりは楽しんでいただきたい
そのうえでお伝えしたいのは、家づくりは一生に何度もあることではないからこそ、不安ばかりに気を取られず、楽しみながら進めていただきたいということです。慎重に会社や担当者を見極める視点を持ちながらも、間取りを考えたり、素材を選んだりする時間そのものを、ご夫婦で楽しんでいただければと思います。たとえば完成見学会やOB宅見学会に足を運び、実際に暮らしている方の声を聞いてみることも、安心して選ぶための一つの方法です。

この記事のまとめ
住宅業界には、規模の大小に関わらず一定数の相談やトラブルが存在します。だからこそ、「大手だから安心」といった単純な基準ではなく、仕組みや対応の姿勢を具体的に確認しながら会社を選ぶことが、後悔を減らす近道になります。本記事のポイントを整理すると、次のようになります。
・住宅の相談窓口には、毎年3万件を超える相談が寄せられており、トラブルは身近なテーマである
・会社の規模とクレームの少なさは必ずしも比例せず、品質は現場の管理体制によって左右される
・標準仕様とオプションの境界や、検査体制の説明が曖昧な会社は、後からのすれ違いにつながりやすい
・質問への回答を丁寧に持ち帰ってくれる担当者は、誠実さのひとつのサインになり得る
・数字や情報を確認しながらも、家づくりそのものは前向きに楽しむ姿勢を大切にしていただきたい
家づくりは、人生の中で何度も経験することではありません。慎重に会社や担当者を見極めることと、間取りや素材を選ぶ時間を楽しむことは、決して矛盾するものではないと考えています。まずは気になる会社の資料を取り寄せたり、見学会に足を運んだりするところから、少しずつご夫婦のペースで進めていただければ幸いです。
※本記事には、内容理解を助ける目的で一部AI生成画像を使用しています。
引用元・参照元
・公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」(2025年9月発行、2024年度実績)
https://www.chord.or.jp/assets/NP2025_web..pdf
・株式会社さくら事務所「【2025年】新築戸建て工事中ホームインスペクション不具合指摘率」(PR TIMES掲載)
※本文中では、同リリース内に掲載されている「完成時ホームインスペクション(1,370件)」の不具合指摘率データを引用しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000002667.html
※本記事は執筆時点(2026年8月初旬)の情報をもとに作成しています。統計データや調査結果は今後更新される場合がありますので、最新の内容は各発表元にてご確認ください。
よくある質問<FAQ>
Q1. 大手ハウスメーカーであれば、クレームやトラブルは少ないのでしょうか?
A. 会社の規模とクレームの少なさは、必ずしも比例するとは限らないとされています。品質は会社の規模よりも、現場の管理体制や検査の仕組みによって左右される部分が大きいためです。大手・中小いずれの場合も、検査体制や記録の残し方を確認してみることをおすすめします。
Q2. クレームが多い会社を、契約前に見分ける方法はありますか?
A. 完全に見分けることは難しいのが正直なところですが、標準仕様とオプションの境界や、検査・保証の内容が具体的に説明されるかどうかは、判断材料のひとつになります。曖昧な点があれば、契約を急がず質問してみてください。
Q3. 担当者との相性が心配です。何を基準に判断すればよいでしょうか?
A. 分からないことをその場で無理に答えず、確認してから丁寧に伝えてくれる担当者は、誠実さのひとつのサインだと考えられます。複数回の打合せを通じて、リスクや注意点もきちんと共有してくれるかどうかを見ていただくと安心です。
Q4. トラブルを防ぐために、事前にできることはありますか?
A. 完成見学会や構造見学会に足を運び、実際の施工現場や検査の様子を確認しておくことは、有効な方法のひとつです。気になる点はその場で質問し、資料として残る形で説明してもらうと、後々の安心につながります。
Q5. 不安な情報ばかりで、家づくりが少し怖くなってしまいました。
A. お気持ち、よく分かります。ただ、多くのご家族は事前にしっかり確認と準備を重ねることで、納得のいく家づくりを実現されています。慎重に進めることと、楽しみながら進めることは両立できますので、まずは気になることから少しずつ整理していきましょう。
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