【住宅ローンの金利上昇】
破綻しないために知っておきたい、家づくりの「資金計画の考え方」とは?
こんにちは。羽曳野市を中心に大阪・奈良エリアで家づくりをお手伝いしている工務店、tsumuguの代表の山下慶です。
資金計画のご相談の中で、「変動金利って、これからどうなるんでしょうか?」という質問を最近とても多くいただきます。今日はその不安に、できるだけ正直にお答えしたいと思います。
「変動金利が上がり続けている」というニュースを目にして、不安を感じているご夫婦も多いのではないでしょうか。「もし金利が3%になったら、わが家の返済は大丈夫なのか」——そう心配になるのは、ごく自然なことです。
この記事では、変動金利の仕組みと現在の動向を整理したうえで、具体的なシミュレーションを交えながら「安心して返せる家計」と「金利上昇で苦しくなりやすい家計」の違いをわかりやすくご説明します。不安を煽ることが目的ではありません。正しく理解することで、落ち着いて考えられるようになっていただければと思います。

まず知っておきたい「変動金利の今」
変動金利は、今まさに上昇局面にあります。ただ、「どのくらい上がっているのか」を正確に理解することが、冷静な判断の第一歩です。
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降、段階的に金融政策を見直してきました。2025年12月には政策金利が0.5%から0.75%に引き上げられ、これを受けて2026年4〜5月にかけて多くの金融機関が住宅ローンの変動金利(基準金利)を引き上げました。なお、2026年4月28〜29日の金融政策決定会合では政策金利は0.75%に据え置かれましたが、市場では今後の追加利上げの可能性も引き続き意識されています。
2026年5月時点の主要ネット銀行・メガバンクの変動金利(適用金利)は、金融機関や条件によって差がありますが、0.3〜1.0%台が中心的な水準となっています。「基準金利3%超え」と耳にしても、実際の借入者に適用される金利は優遇幅が差し引かれるため、直接の比較はできません。まずは「今の自分の適用金利がいくらか」を借入先の金融機関で確認することが重要です。
※金利情報は随時変化します。最新の適用金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

変動金利の仕組み「5年ルール・125%ルール」とは?
変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」という、急激な返済額増加を防ぐ仕組みが多くの金融機関で設けられています。
■5年ルールとは、金利が変わっても毎月の返済額は5年間見直されないというものです。たとえば今日金利が上がったとしても、次の返済額見直しまでの間は返済額がすぐには増えません。
■125%ルールとは、5年ごとの返済額見直しの際、前回の返済額の125%(1.25倍)を上限とする制限です。返済額の急増を抑える緩和措置です。
ただし、ここには重要な注意点があります。返済額が据え置かれていても、金利計算には新しい金利が即時に適用されます。返済額に占める利息の割合が増え、元金の減りが遅くなる、あるいは「未払利息」が積み上がるリスクがあります。「5年ルールがあるから安心」とは言い切れない点を、頭に置いておいてください。
また、5年ルール・125%ルールは全ての金融機関・ローン商品に適用されるわけではありません(たとえば元金均等返済の場合は適用されないケースがあります)。ご自身のローン契約内容を必ずご確認ください。

「金利3%になったら月々いくら増えるの?」実際に計算してみました
ここでは、多くのご家庭で想定されやすいケースをもとに、返済額の変化をシミュレーションしてみます。あくまで参考の試算値ですので、実際の返済額はご自身の借入条件・金融機関・返済方式によって異なります。
【シミュレーションの前提条件】
・借入額:3,500万円
・返済期間:35年
・返済方式:元利均等返済
・ボーナス返済なし
・金利は返済期間を通じて一定と仮定した試算(実際の変動金利は定期的に見見直されます)
■当初金利が1.0%の場合の月々返済額:約98,800円
これが金利上昇によってどう変わるか、見てみましょう。
| 適用金利 | 月々の返済額(試算) | 当初との差額(試算) |
|---|---|---|
| 1.0%(当初想定) | 約98,800円 | ― |
| 2.0% | 約115,900円 | 約+17,100円 |
| 3.0% | 約134,700円 | 約+35,900円 |
※上記は試算です。実際の返済額は借入条件・返済方式・金融機関の設定等により異なります。変動金利の場合、5年ルール・125%ルールへの影響により、金利上昇があっても返済額がこの通りに変化するわけではありません。「変化の大きさのイメージ」としてご参照ください。
金利が1%から3%に上昇した場合、単純計算では月々の返済額が約3万6千円程度増える計算になります。年間では40万円超の差です。これを「なんとかなる」と感じるか「厳しい」と感じるかは、家計全体の状況によって大きく異なります。

「安心して返せる家計」と「金利上昇で苦しくなりやすい家計」の分かれ目
この差が家計に響くかどうかは、「返済額以外の出費」をどれだけ想定していたかにかかっています。
住宅ローンを組むときに、多くの方が気にするのは「毎月の返済額が収入に見合っているか」という点です。しかし実際には、住宅にまつわる出費はローンだけではありません。
・固定資産税・都市計画税(条件や地域により異なりますが、年数万〜20万円以上になることも)
・火災保険・地震保険
・光熱費(断熱性能の低い住宅では想像以上にかかることも)
・修繕費・メンテナンス費(築年数が経つほど発生しやすくなります)
・子どもの教育費
・車の維持費 など
これらを月換算すると、返済額以外に毎月数万円の支出が積み重なります。返済額だけを基準にした資金計画では、金利が少し上がっただけで家計が苦しくなってしまう場合があります。
逆に言えば、「ローン返済+生活コスト全体」を事前に見積もり、金利が上がっても吸収できる余力をあらかじめ持っている家計は、返済額が増えても落ち着いて対応できます。

「返済比率」だけで判断しないことが大切
住宅ローンの審査では「返済比率(返済負担率)」——年収に占める年間返済額の割合——が重要視されます。金融機関によって異なりますが、フラット35を例にとると、年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下が基準のひとつとされています(※金融機関・ローン商品により異なります)。
ただし、審査に通ることと「無理なく返せること」は、同じではありません。
私が相談を受ける中でよく感じるのは、「審査は通った。でも、毎月のやりくりが思ったよりきつい」というお声です。大切なのは、「審査に通る金額」ではなく「住み始めてからも生活に余裕が持てる金額」を基準に借入額を考えることです。
「安心して返し続ける」ための資金計画の考え方
変動金利のリスクを理解したうえで、では実際にどう考えればよいのか。tsumuguでは、家づくりのご相談の最初の段階から、以下のような考え方をお伝えしています。
「金利が上がっても大丈夫か?」を先に想定する
資金計画を立てる際に、私がいつもお伝えしているのは「最初から金利が上昇したシナリオを想定する」ということです。
たとえば、現在の適用金利が1%程度であっても、「もし数年後に1.5%になったら?」「2%になったら?」という試算を事前にしておくことをおすすめしています。その返済額でも月々の生活に余裕があるかを確認してから、借入額を決める。これが金利上昇への最もシンプルな備えです。
「いくら借りられるか」ではなく「いくらなら安心して返せるか」——この順番で考えることが、長く快適な暮らしの土台になります。

光熱費・維持費まで含めた「ライフサイクルコスト」で考える
家は建てた瞬間だけでなく、住み続けることでコストがかかります。tsumuguでは、建物の断熱性能を高めることで、長期的な光熱費を抑えることを標準仕様として大切にしています。
冬の暖房費、夏の冷房費は、断熱性能の違いによって年間で差が出てくることがあります。月々のローン返済額が同じでも、光熱費を抑えやすい家のほうが家計全体としては余裕が生まれやすくなります(光熱費の差は住まいの広さや使い方によっても異なります)。
また、定期的なメンテナンスにかかる費用も、家の品質や素材の選択によって長期的に違いが出てきます。初期費用だけでなく、住み始めてからのコスト全体を見渡したうえで判断することが大切です。

「繰り上げ返済の余力」を持てるかを確認する
金利が上昇した場合の対策のひとつとして、繰り上げ返済が挙げられます。早めに元金を減らしておくことで、金利上昇の影響を小さく抑えることにつながる場合があります。
ただし、繰り上げ返済のための原資は、家を建てた後の「貯蓄の積み上げ」から生まれます。そのためには、毎月の返済額に余裕があること、光熱費や維持費を抑えられていることが前提になります。
「返済しながらでも少し貯蓄できる家計」をつくれるかどうか。これが、金利上昇への現実的な備えのひとつだと考えています。

変動か?固定か?どちらを選ぶべきか
「変動金利か固定金利か」はよく聞かれる質問ですが、これはご家庭の状況や価値観によって答えが変わります。どちらが絶対に有利とは一概に言えません。
ここでは、それぞれの特徴を整理しておきます。
<変動金利の特徴>
・金利が低い時期は返済額が少なくなる傾向がある
・金利上昇リスクを自分で負う
・金利動向を定期的に確認する必要がある
<固定金利の特徴>
・将来の返済額があらかじめ確定しているので家計計画が立てやすい
・変動より当初金利が高めになることが多い
・金利が下がっても返済額は変わらない

2026年5月末時点では、固定金利(フラット35など)は長期金利の上昇を背景に高い水準で推移しています。変動金利と固定金利の金利差は拡大している状況にあり、どちらを選ぶにしても、メリット・デメリットを理解したうえで判断することが重要です。
どちらを選ぶかよりも、「その選択をした上で、金利が変化した場合にどこまで家計が耐えられるか」を事前に確認しておくことが大切です。
※住宅ローンの金利選択は、家計の状況・価値観・将来のライフプランによって個別に判断が必要です。ご不安な場合は、借入先の金融機関やファイナンシャルプランナーへのご相談もあわせておすすめします。
本記事のまとめ
今回の記事で、お伝えしたかったことを整理します。
●変動金利は2024年以降、段階的に上昇しており、2026年5月時点でも今後の動向に注意が必要な状況が続いている
●5年ルール・125%ルールは返済額の急増を抑える緩和措置であり、「元金の減りの遅れ」や「未払利息」のリスクには引き続き注意が必要
●3,500万円の借入で金利が1%→3%になると、単純計算では月々の返済額が約3万6千円程度増える試算になる(実際は5年ルールなどの影響を受けます)
●大切なのは「審査に通る金額」より「住み始めてからも生活に余裕が持てる金額」で借入を考えること
●光熱費・維持費・教育費などを含めたライフサイクルコスト全体で資金計画を立てること
●繰り上げ返済の余力を持てるかどうかを事前に確認しておくことが、金利上昇への現実的な備えになる
金利の将来を正確に予測することは、専門家でも難しいことです。だからこそ、「上がっても対応できる計画」を最初から立てておくことが、長く安心して暮らすための土台になります。
家づくりの資金計画で「どこから考えればいいか分からない」と感じたときは、まず専門家に話を聞いてみることをおすすめします。tsumuguでは資金計画を含めた個別相談や、家づくり勉強会も定期的に開催しています。気になることがあれば、気軽にお声がけください。

※本記事は2026年5月末時点の情報をもとに作成しています。住宅ローン金利・制度・税制などは変更される場合があります。最新情報は各金融機関や公的機関の公式発表をご確認ください。
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引用元・参照元
・SBI新生銀行「2026年の住宅ローン金利はどうなる?今後の見通しや日銀の金融政策を解説」
https://www.sbishinseibank.co.jp/retail/housing/column/vol152.html
・モゲチェック「住宅ローン金利2026年5月の最新動向【止まらない金利上昇と今後の見通し】」
https://mogecheck.jp/articles/show/51rzNy7XEJ5o4mQ6ZkVv
・住まいサーフィン「【2026年5月最新】今後の住宅ローン金利はどうなる?推移と見通し」
https://www.sumai-surfin.com/columns/mansion-knowledge/mortgage1
・モゲチェック「住宅ローン変動金利の5年ルール・125%ルールとは?」
https://www.mogecheck.jp/articles/show/JOeXZGMA4VGbENzBpmdP
・エイミックス「変動金利が上がったら住宅ローンの返済額はどうなる。5年ルール・125%ルールの限界と対処法」
https://a-mics.com/blog/hendo-kinri-haraenai/
・ポラスグループ「知っておきたい「5年ルール」と「125%ルール」」
https://www.polus.co.jp/loan_plan/news/detail.php?ni=506
・住宅ローン返済額試算:元利均等返済の計算式による自社計算(借入3,500万円・35年・各金利での試算値)
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきですか?
一概にどちらが良いとは言えません。変動金利は低金利の恩恵を受けやすい一方、金利上昇のリスクを借入者が負います。固定金利は返済額が確定していて家計管理がしやすい反面、当初金利が高めになることが多いです。2026年5月時点では変動・固定ともに上昇傾向にあり、どちらを選ぶにしても「金利が変化した場合に家計が耐えられるか」を事前に確認しておくことが重要です。ご自身の家計状況に応じて、金融機関やFP(ファイナンシャルプランナー)への相談もおすすめです。
Q2. 変動金利が上がり始めたら、固定金利に借り換えることはできますか?
借り換え自体は可能ですが、タイミングの判断が重要です。2026年5月現在、固定金利(フラット35など)はすでに高い水準で推移しています。変動金利の上昇を受けてから固定に乗り換えようとすると、その時点で固定金利がさらに上昇している可能性があります。借り換えを検討する場合は、手数料を含めた総コストを試算したうえで判断することをおすすめします。最新の金利情報は各金融機関にご確認ください。
Q3. 頭金はどのくらい用意したほうがよいですか?
頭金が多いほど借入額が減り、金利上昇の影響も小さくなります。ただし、頭金に全額充ててしまうと手元の余裕資金(緊急予備費)がなくなるリスクがあります。一般的に、諸費用(物件価格の5〜10%程度とされることが多いですが、条件により異なります)は自己資金で準備するケースが多く、さらに数ヶ月分の生活費を手元に残したうえで頭金を検討する考え方が参考になります。ご自身の状況に合わせた個別の試算が必要ですので、専門家にご相談ください。
Q4. 住宅ローン控除(減税)は、今からでも使えますか?
2026年時点では、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、新築住宅の性能区分に応じて、控除率0.7%・最長13年間の控除が適用される制度が継続しています。ただし、対象となる住宅の性能基準(省エネ基準の適合要件など)、借入限度額、所得要件(合計所得金額2,000万円以下など)の条件があります。また、制度内容は改正される場合があります。ご自身が対象となるかどうかは、最新の制度内容を税務署や国税庁の公式サイト、またはFPなどの専門家にご確認ください。※本内容は執筆時点の情報です。
Q5. 「安心できる資金計画」をつくるために、家づくりの段階で気をつけることはありますか?
「返済できる住宅ローンの金額」を起点に資金計画を立てることが大切です。具体的には、建物本体の費用だけでなく、諸費用・外構・家具家電・予備費までを含めた総コストを把握し、住み始めてからの光熱費・維持管理費・教育費なども見越した計画を立てることをおすすめします。断熱性能の高い家は光熱費を抑えやすく、長期的に家計の安定につながりやすくなります。tsumuguでは、個別の資金計画相談も承っています。お気軽にご相談ください。